結婚指輪のデザインのトレンドも洋服と同じように年々変わってきます。
昨今の結婚指輪は幅が細目デザインの人気が出ており、あまり幅の広いデザインを手作りする人が減ってきました。
当店で手作りしていただくデザインの平均幅も女性物は2mm程度、男性物は2.5mm程度の幅の結婚指輪が多いです。
なぜ細身の幅が人気になってきたのかその理由を考えてみました。
上記以外も考えられると思いますが、主にこの4つが考えられる理由だと思います。
それぞれの理由を詳しく解説します。
5~6年前までは結婚指輪の幅は3mmくらいが平均の太さでした。
それ以前は幅の広いデザインが人気になっており、表面に様々な模様を施せるスペースがあるためそのスペースを活かして個性的なデザインが多く存在しました。
シンプルよりもより個性的なデザインが人気になっていましたが、流行にはサイクルがあり、幅広デザインに目新しさを感じなくなり細目が目新しくなって来たと考えられます。
景気が上向きになってきたとわ言え、一般にはまだ景気上昇が感じられず、物にあまりお金をかけない風潮になってきています。
その為、細い結婚指輪のほうが安価になるためお客様の予算ニーズにあっていると考えられます。
景気も上がった実感の無いなかで、貴金属地金はゴールド、プラチナ、それに割り金として混入するパラジウムが揃って高騰してきました。
地金高騰前の販売価格と同じにするためには結婚指輪の幅を細くして使用する地金を少なくして製品を作ることを余儀なくされ、幅の細いデザインが増えていった事も理由の1つになっていると思います。また顧客の購入予算の低下も拍車をかけて細くて安価なデザインが増えてきました。
日本人の体型も欧米諸国と同じように身長が伸び、手足も長くなってきているようです。
その半面、骨格その物は細くなってきており、指輪サイズもそれに伴って小さくなっているようです。
結婚指輪は薬指に着けますが、10年ほど前までは9号~10号くらいが平均の指輪サイズでした。
男性の場合は15号くらいが平均でした。
ところが昨今店頭に来客されるお客様のサイズを測ってみると女性で8号、男性で13号程度と少し小さくなってきており、以前ではほとんど居なかった女性5~6号と言うお客様もざらにいらっしゃいます。男性の場合も9号という方もいらっしゃいました。
骨格が細くなってきた要因としてインターネット、SNSなどの普及により外出する機会が減り、運動不足のため。また職業的にも肉体労働をする仕事が敬遠され、デスクワーク中心の職場が増えてきたことも考えられます。
手が小さく指が細くなると幅の広い指輪が全く似合わない物になります。その為、ビジュアル的にも細い指輪のほうが似合う人が増えて結婚指輪の細身デザインが増えていったとも考えられます。
実際にお客様が店頭で指輪幅の選考している所を見ると細い指輪のほうが似合うお客様が増えてきているように思います。
価格等の事もありますが、身につけて自分に似合う指輪が細身になってきているというのが一番の理由では無いでしょうか。
細身の結婚指輪が人気になってきた中でそのメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
自分に似合う結婚指輪のデザインを選ぶ上でどのような事に注意しなければいけないかを説明します。
指が長く見える
指輪幅が細いと言うことは指先から指輪までの距離が長くなります。その為指が長く細く見えるという効果があります。
値段が安い
やはり使用する貴金属地金が少ないので価格も安くなります。
大きな手の人は似合わない
手が大きくて男っぽい人は女性物を着けたようになってしまう。
よく似たデザインになる
幅が細いのでデザインに限りがある。
このようにデメリットの部分もありますが、それほどデザインに拘らなければ価格も安くなるので細い結婚指輪のほうがメリットは大きいと言えます。
デザインに限りがあるとはいえ色々なデザインの結婚指輪を手作りすることが出来ます。
細身の結婚指輪の中でどのようなデザインが人気があり、手作りしていただくことが多いのかをランキング形式でご紹介します。
削った跡はお客様によって全て違うため完全に自分たちのオリジナル模様になります。
いつまでも飽きの来ない丸みのある甲丸型はTPOに左右されることなく永遠に身につけていられます。
ストレート型よりも柔らかな印象を与えるのでオシャレ感が増します。
小さな丸い粒々が並んだ模様はより可愛らしく繊細なイメージで女性に特に人気があります。
単色のデザインと違って2つの色合いのコントラストが美しく、アーティスティックなイメージになります。
コンビは加工料金が必要なので少し高価になります。
ここでご紹介した結婚指輪の写真は実際にお客様に手作りしていただいた指輪です。
このように細身の結婚指輪は幅広デザインに比べてメリットも多く、2020年現在のニーズに合ったデザインといえます。
お客様の手作りであれば削る範囲も少ないので短時間に簡単に作ることが出来ます。
また価格が安くなると言うのが大きなメリットになっています。
本日ご紹介のお客様は、大阪府下よりお越しのお客様です。
結婚指輪の手作りで大阪工房へご来店頂きました。
お客様が手作りした指輪のデザインは、お互いに素材も形も違うデザインを作って頂きました。
手作りで来店されるお客様は今回のお客様のように男女で少し違うデザインを作られることは結構あります。
今回は、なぜこのように男女の好みに違いがあるのかを考えてみました。
そもそも性別によって指輪のデザインの好みが違うのは当たり前の事です。
人によって違いがありますが、男女それぞれの一般的な好みの特徴をまとめてみました。
まず、男性と女性とでは体の作りが全く違います。
男性は体も大きく骨太で筋肉質、ガッチリとした体型です。体の作り自体がこのようになっているので、より強さを求め何かを守る使命のような本能的な物だと思います。
指輪のサイズも大きいので細身の幅だと華奢すぎてある程度の幅が無いと強度も落ちるので少し幅広のほうが似合うのは当然のことです。
また、機械的な物や迫力のある事を好む傾向にあるので、丸みのあるデザインよりも平面的でストレートなデザインが基調になった平打ち型などが好まれます。他人に強さを見せたいという願望もあるようなので力強い印象のデザインも好みます。
逆に可愛らしい印象は余り好まれません。「可愛い」≠「力強い」は真逆のイメージなので弱々しい印象を与えるのを嫌うのだと思います。
女性は体が小さく筋肉量も少なく、体も柔らかいのが特徴です。
女性は男性に比べると体も小さく、関節も柔らかで筋肉よりも脂質の多い体質です。脂肪が多いのは体を温める必要のある器官があるためと考えられます。力も弱いので男性に守ってもらいたいという欲求のような物もあります。
このため、力強い印象を与えるよりも可愛くて弱々しい印象を与えた方が守ってもらえるからではないでしょうか?
男性は自分の持っていない物を求めて、可愛らしいくて美しい物を守りたいという本能のような物がありますから「可愛い」ほうが理にかなった自分の見せ方です。
よって、華奢で可愛らしくキラキラした美しい物を身につけて、自分をより美しく可愛らしく着飾れるデザインが好まれるようです。
当店で取り扱っている物は結婚指輪ですが、男女の好みの違いは洋服などファッション全般に言えることです。
メンズのトップスは様々な装いの洋服がありますが、パンツは一般的にズボンスタイルの物しかありません。
逆にレディスはトップスを初めアンダーもパンツにスカート、ワンピーススタイルとかなりデザインも豊富です。
男性が女性のスカートを着るのはおかしいですが、女性はメンズスタイルのファッションでもおかしくありません。
街に出かけてみてもメンズショップよりも圧倒的にレディスのショップのほうが多いです。
このように身につけるアクセサリーやジュエリーについてもレディスのデザインのほうが豊富で様々なデザインがあります。
指輪についても同様の事が言えて、男性がフェミニンなリボンとかハートのモチーフの指輪はおかしいですが、レディスはメンズのようなカジュアルなデザインの指輪を身につけてもおかしくはありません。
基本指輪は女性が普段から身につけることが多い装飾品ですが、男性は指輪を着けるという習慣がほとんどないので身につけるのであれば男性的な自分に似合うデザインを好むようになります。
前述したように基本的に女性は可愛らしく、男性は力強くという印象を好む傾向にありますが、昨今は男性でもユニセックスな装いが登場し、男性らしく、女性らしくといった事がなくなってきて中性的なファッションも好まれるようになってきました。
男性でもメイクをし、美しさを求めるような人も出てきていますが、体格にも現れているようです。
過去10年くらいのスパンで見てみると指輪サイズ昔に比べて顕著に違いが出てきています。
レディスの昔の平均指輪サイズが10号、メンズが15号くらいでした。
昨今はこの指輪サイズが男女ともに小さくなってきています。
実際に当店に来店されたお客様のサイズですが、レディスで7~8号くらい、指の細い方で5号とか6号サイズのかたも結構いらっしゃいました。
メンズで13号~14号と小さくなっていますが、最近は男性でも9号とか10号のお客様もいらっしゃいます。
指輪のサイズが小さくなってきたのは指の骨が細くなってきたからだと思います。
その原因として昔は農耕民族だった日本人で男女ともに力を必要とした生活をしていたため指も太かったのだと思いますが、昨今は力仕事を嫌いIT関係などデスクワーク中心の仕事内容に変化したため力を使う必要がなく骨も細くなってきたのではないでしょうか?
食生活にも関係あると思いますが、そのあたりは別分野なので割愛させていただきます。
このように指輪サイズも小さく、男性の体型も華奢になってきたため細身で柔らかなシルエットのS字型指輪も似合うようになってきました。
みなさんがこのように変化してきたと言うのではなく、このような人が増えてきたと言うことです。
前置きが長くなりましたが本日ご紹介のお客様の指輪も男性と女性とで違った形です。
レディスの素材はK18ピンクゴールドで形はS字型の幅2mm程度の細身のデザインです。
メンズはプラチナ900のストレート型、幅も少し広くして2.5mmとしました。
出来上がった結婚指輪のワックス原型です。S字型の原型を製作する方が少し手間がかかりますが、作り合いっこによって彼にがんばって製作していただきました。
このワックスをお預かりしてプラチナとピンクゴールドで鋳造して仕上がった結婚指輪がこちらです!
双方にシンプルという意味ではペアのようになっていますが、普段でもずっと身につけておく結婚指輪だからこそ自分の好みの合った結婚指輪にする事も大切なのではないでしょうか?
今回のご来店誠にありがとうございました!
末永くお幸せに(^^)
当店では手作りの結婚指輪以外にフルオーダーメイドでの結婚指輪の製作も承っております。
お店は元々フルオーダーメイド専門で結婚指輪の製作をしておりましたのでオーダーも得意分野です。
いつもは手作り結婚指輪のお客様のご紹介を中心にご紹介しておりますが、今回は先日ご注文承った、
フルオーダーでは初心者のお客様が手作りで作るのは難しいデザインのご注文を承っており様々なご注文を受けます。
そんな中で指輪表面にモチーフを取り入れたデザインが人気なのですが、モチーフの中でもネコのモチーフを承ることが多々あります。
今回もネコ好きのお客様からネコのモチーフを入れた結婚指輪のご注文を承りました。
指輪はまだ製作段階でワックス原型が完成しましたので原型の写真をご覧頂きたいと思います。
表面に細かい模様を入れる場合はプロでも手作業で細かいモチーフを作るのは難しく、CADを使ってコンピューターでモデリングをします。
写真では大きく写っていますが、指輪幅は3.5mmです。
実際に定規をご覧頂くとわかりますが、3.5mmの幅の中に細かいネコの模様を描くのも難しく、まして立体的なネコの形を作り上げるのは至難の業になります。手作業で原型を作れる場合は作りますが、フルオーダーメイドの場合は細かい模様を入れる結婚指輪の製作が多く、ほとんどの場合はCADを使って3Dのモデリングをコンピューターで制作し、CAMを使ってワックスを出力します。
指輪の注文時にはデザイン画を目の前で描きながらデザインを決定していくのですが、お客様との打ち合わせは実物に近い見本が在れば一番良いのですが、近い物が無い場合は平面に描いたデザイン画だけで完成を想像できるようにしなければいけません。結婚指輪の場合は指輪表面にシルエットのような形でモチーフを入れるので平面のデザイン画だけでも大丈夫なのですが、デザイン画は大きく描けるので実際の指輪幅のモチーフを作る場合は以下の点を注意して作る必要があります。
このようにデザイン画を立体モデリングする上での注意点が幾つかあり、その理由を説明します。この注意点はお客様自身がデザインを考えたりする場合の参考にもなると思います。
1.ネコのモチーフを作る場合は、最低限ネコだとわかる形を作り、余分な細かい部分は省く。というもので、例えば上のネコの原型の写真で言えば、ネコの毛並み、爪、ヒゲ、目など無くてもネコだとわかる形になっています。もしヒゲや爪などを作ってもごちゃごちゃしてわかりにくい物になり、肉眼では認識できず、逆にシンプルな方がネコだとわかる形になると思います。指輪をわざわざルーペで見ることは無いと思うので肉眼で認識できる形にするのが基本です。
2.上のネコの場合で言うと、尻尾の太さにあたります。実際に描いたデザイン画の比率だと尻尾はもう少し細いのですが、指輪幅にモチーフを置いた場合、そのままでは尻尾が細すぎて人間の髪の毛のような太さになり可愛らしいネコの尻尾になりません。これはコンピューターでモデリングしている段階でも画面を通して見ると大きく拡大出来てしまうのでわかりにくく、実際にワックスに出力してみてわかる事です。今回も1度原型に出力してみて尻尾が胴体に比べて細すぎたのでモデリングを修正して、再度原型を作り直しました。いくつかモデリングをこなしていると事前にわかるようになりますが、今回出来るだけ指輪幅を細くと言うことでモチーフのはいるギリギリの3.5mmの幅に細くしたのでわかりにくかったのが原因です。
3.モチーフがいくつか指輪表面に配置する場合、指輪は丸い円の形で指輪の回りに配置するようになるので、モチーフの間隔が5mmだったとして1つがトップにあり、次のモチーフが斜め45度に見えるようにするつもりでもサイズが小さければ外周も短いので真横に行き過ぎて指の間に隠れてしまうことがあります。指輪のサイズ(外周)に応じてモチーフの配置に気を付けなければ行けません。
4.指輪のサイズ、幅によってもモチーフの印象がもの凄く変わってきます。サイズが小さいと指輪幅も太く感じ、サイズが大きいと同じ指輪幅でも細く見えます。このため、レディスではちょうど良いモチーフの大きさ、配置になったとしてもメンズでは間の抜けたようなデザインになったり、モチーフが小さすぎたりします。お客様によってサイズの組み合わせは違うので、最初に双方のサイズからデザインの配置などを検討した上でモチーフの大きさなどを決定する必要があります。
5.こちらも4.の項目によく似ておりますが、今回のネコの指輪原型で言いますと、お客様のご希望でネコ、足跡、宝石の配置を出来るだけ上部に寄せて指輪を着けたときにトップ部分に全ての要素を見えるようにしたいとのご希望でしたので、余り中央部分に寄りすぎないようにある程度、間隔を空けてバランス良く全てのモチーフを上部に固めました。メンズのほうはサイズが大きいのでサイズに合わせてモチーフの間隔を広げるか、レディスと同じモチーフの間隔でサイズだけ大きくするかで印象が変わってきます。今回はモチーフの間隔はレディスと同じとし、指輪サイズだけ大きくするように作っています。
このように平面の紙の上にデザイン画を描くだけでその通りに作れば良いという訳ではなく、色々なバランスを考えながらフルオーダーの結婚指輪を作っていきます。
上記の注意箇所をふまえてCAMを使って出力した結婚指輪の原型は少しいびつな表面になっていますので原型の最終仕上げはやはり人間の手に寄って行います。3.5mmの幅だと肉眼での作業は困難でマイクロスコープという顕微鏡のようなものをのぞきながら原型の仕上げは手作業で行います。
上記のような注意点が良くわかるように過去に製作した結婚指輪の原型をご紹介します。
こちらは過去にご注文を承った結婚指輪のワックス原型ですが、手と手を握手したモチーフの指輪です。
写真はかなり拡大して撮っていますので大きさはわかりにくいですが、この写真を見ていただければその大きさが良くわかると思います。
このように指輪なので指の先っちょにちょこんと乗ったぐらいの大きさなので握手部分はかなり細かい細工です。
注文品なので完成品はお渡ししてしまって実物が在りませんが、握手している指1本の太さは0.5mmも無かったように思います。
当初、爪を入れることが出来るか?という質問も承ったように思いますが、写真を見ておわかりのように爪を作るのは至難の業で、もし仮に爪を作ったとしても肉眼で認識するのは困難ですし、見ても爪があるのか無いのかわからない大きさです。また、プラチナ等の貴金属に鋳造してからの仕上げの段階では研磨するのですり減って爪は無くなると思います(汗)
爪は無くても充分握手してる「手」だとわかるので充分なデザインだと思います。このように結婚指輪に入れるためのモチーフは大きさ、バランスなどを考えながらデザイン画の段階で仕上がりをイメージしてご注文を承るようになります。
今回ご紹介したネコの結婚指輪の完成は少し先になりますが、完成した折には改めてご紹介したいと思います。
最後に、過去にご注文を承ったネコのデザインの結婚指輪の完成品をご紹介いたします
こちらは2種類のネコのモチーフが入っています。レディスは伸びをするネコ、メンズは仰向けにゴロンとくつろいでいるネコです(^^)
ネコ以外の部分は全周に彫刻が入りキラキラした結婚指輪に仕上げています。