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結婚を決意したパートナーから贈られ、贈られた側が受け取ることで「婚約」が成立する婚約指輪は、結婚に至るフェーズの中でも重大な意味を持っています。婚約指輪の起源であるヨーロッパでは、贈る側・贈られる側は婚約の成立で完結していますが、日本においては少し事情が異なります。非常に高価な品であるエンゲージリングに対して「お返し」をするものではないかという、日本古来の結婚方式に基づく考え方があるのです。
婚約指輪にはお返しが必用か?
まず断言してしまいますが、エンゲージリングを受け取った側が、「その価格に応じた返礼を必ずしなければならない」という決まりはありません。実際に、ブライダルサイトのアンケートにおいても、返礼をしていない人は全体の51%を超えています。しかし、およそ2割の人が「半額分の返礼をした」とあり、「1/3、それ未満の返礼をした」人も2割に及んでいます。金額に関係なく、欲しがっていた物を買ったり、大好物を作ることでお返しとした人もいます。返礼をしていない人は51%であっても、返礼をした人も49%いる、つまり半々の確率で返礼が発生していることになります。
プロポーズとはいえ、高価な物を貰ったので何らかの形で返したい、と考える人がいるのは当然頷けます。しかし、返礼をした人の中には「結納返しとして半額を返した」「だいたい1割ほどの物品を返した」という、明確なルールに基づいたお返しをしている人も見られます。これは、日本の結婚式である「結納」に基づく考え方ではないか、と考えられています。
結納に使う場合の「結納返し」は必要?
「結納返し」と「婚約指輪のお返し」は、本来全くの別物です。結納を行う場合、結納品に対して決まりごとに基づく結納返しをする必要はあるとしても、結納に関わらないエンゲージリングの贈呈ならば特に適用されません。
結納とは、古来日本において、家同士の結婚を確約することですが、その際、両方の家がお互い「結納品」を互いの家へ差し出します。結納の場では、まず男性側から結納品が差し出され、それを受けて、女性側が男性側へ、受け取った結納品に対する結納品を返します。これが「結納返し」です。現代においては、結納で差し出される結納品のひとつに「結美和(エンゲージリング)」が含まれることがあり、その場合には「結美和に対する結納返し」が必要になるのです。
大まかに、関東地方・関西地方で結納返しのルールに違いがあり、地方によって異なる可能性もあります。両家のしきたりや一族におけるルールをきちんと確認し合い、適切な金額の品を準備しましょう。
婚約指輪の必要性とは
結婚に対する考え方は、社会情勢や時勢の変化によって変わっていきます。現代において婚約・結婚の形態はより多様化し、結婚式ひとつとっても、従来のように神前で愛を誓うのではない、「身近な人々へ愛を宣誓する人前式」という方式が見られることもあります。時間や予算的な理由で結婚式を行わない夫婦も珍しく無くなり、親族を呼ばずにパーティーを仲間内で済ませ、婚姻届けを出して終わり、というカジュアルな結婚の形もあります。
そうした現代において、エンゲージリングもまた、必ずしも必要な物ではなくなりつつあります。しかし、それは個々人によって感性が大きく異なるものです。相手にとって不要なものでも、自分にとって愛の証として贈りたいものであったならば、その真剣な想いを形にする手段としても、エンゲージリングには意味が生じます。逆に、自分にとっては不要と感じても、相手にとっては贈り・贈られることに憧れがあるかもしれません。自分にこだわりがないならば、相手の憧れに応えることも、愛の形と言えるでしょう。