金属研磨の彫金工具

貴金属になった指輪の表面を仕上げる彫金工具と言えばヤスリなどを思い浮かべると思いますが、それ以外にも沢山の工具や治具があります。
どのような工具などがあるのか少しご紹介したいと思います。
キサゲ
キサゲとは先に鈍角に近い刃が付いた工具で、ヤスリで削ったヤスリ目をそぎ落としてヤスリ目を無くす為に使用します。
昨今ではこのキサゲを使わずにヤスリ目にいきなりハンドモーターのシリコンポイントなどで研磨してしまうことが多くなっており、余り使わなくなっているかもしれませんが私の場合は20年以上使っています。
長さの違うキサゲが並んでいますが、手前の短い物は20年以上使っていた物です。
キサゲの刃がだれてくると切れ味が悪くなるので砥石で研いで使います。その為どんどん短くなって使いにくくなったので新しいキサゲを新調した物が上の長いキサゲです。研ぎながら長年使うと短くなるので短くなったキサゲを比べて我ながら年期が入ってるなと感じます(^^;)
ハンドモーターポイント
ハンドモーターの先につける研磨の為の治具です。
色々な形や素材、光沢を出すためのバフ状のものなど沢山の種類があり研磨する箇所に応じて使い分けます。
主にシリコンポイントを良く使用します。シリコンポイントとはゴム状の素材に研磨するための粒子が練り固められた様な物で形状は本当に沢山の種類があります。
自分で先を細くして細かい部分の研磨に使用したりも出来ます。
紙ヤスリで言うと400番ぐらいの荒目から初めて800番、1200番とだんだんきめの細かいポイントを使用していき光沢を出していきます。
ハンドモーターのポイントでダイヤポイントという物があります。
こちらは人工ダイヤの粒子を先に付けた物でヤスリの入らない細かい部分を削ったり、形を整えるのに使用したりします。
シリコンポイントと違ってダイヤなのでほとんどすり減ることが無く半永久的に使えます。
ハンドモーターの回転数を落として貴金属の表面に少しキラキラしたようなテクスチャーを入れる場合にも使用したりします。
貴金属品位刻印
プラチナやゴールドの製品にはその品位を表す刻印を入れますが、この刻印も形が色々あります。
平面のプレートのような物に刻印を打つ場合はストレートの形の刻印を使いますが、この写真の刻印は指輪の内側に打つための弓形に歪んだ形の刻印です。
弓形の刻印があればプレート平面にも刻印は打てますので私の場合はストレート型の刻印は持っていません。
先の刻印部分も指輪形状にカーブしているため平面に打つには少しコツが入りますが、慣れれば大丈夫です♪
指輪の内側にどのように打つのかというと、ヤニ台と呼ばれる物に指輪を固定して打つのが一般的な方法です。
普通の人には全く縁のない物なので知らない人がほとんどだと思います。
ヤニ台とは松ヤニを台(木、金属)に付けて松ヤニ自体を固定して使いやすくした物です。
松ヤニは暖めると柔らかくなりドロッとしたドロのようになり、冷めるとカチカチに固まります。また溶けた状態のときはベタベタとくっつくので指輪などの固定に使用します。
指輪を固定するには火で表面を炙ってドロ状に溶かしていき、指輪をぐっと押し当てて固定します。どのような形でもドロのように柔らかいのでその形に添って固定できます。
固まるとカチカチなので刻印や彫刻を施すのに使用でき大変便利な物です。
ざっくりと彫金工具についてご紹介しました。
色々な彫金工具について日を改めてご紹介していきたいと思います!