結婚指輪の手作り方法。鋳造と鍛造の違いは何か?そのメリットとデメリット

2023-02-02 13:34:38  | NoComment
                   

大きく分けて結婚指輪の手作り方法は、鋳造と鍛造の2つあります。しかし鋳造と鍛造の違いはどういうもので、結婚指輪にはどちらが向いているのか分からないという人も少なくありません。そこで鋳造と鍛造の違いや、それぞれのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

鋳造と鍛造の違いとは何か

鋳造と鍛造では製造方法が違います。作り方が全く異なります。まず鋳造法とは、金属を熱して溶かし型に流し込み、冷やして金属が固まったら取り出すという造り方です。分かりやすく言うと、板チョコを買ってきて、それを鍋で温めてチョコを溶かして自分の好きな形に固めるというような事とほとんど同じです。この製造方法は大量生産にも向いているので、結婚指輪だけでなく、市場に出回っているジュエリー関係のほとんどがこの鋳造法で作られています。複雑な形を作ることが出来るのでペンダントやピアスなど色々なジュエリー製品を作ることが出来ますが、元々は仏像等を作る時に用いられてきた方法で古くから行われてきた製造法です。それを指輪に応用しているという感じです。

結婚指輪を作る場合は、まずワックスつまりロウで指輪を好きな形で形成していきます。そのワックスを基にして鋳型を作る為、別名ロストワックス鋳造とも呼ばれています。
同じ形の指輪を大量に作りたい時は、まずシルバーで基となる指輪を準備し、それをシリコンゴムで型を取って同じワックスパターンを沢山作って、ツリー上にしていき鋳型を作る事で一気に沢山の指輪を作る事が可能です。実際有名ブランドの結婚指輪もこうした方法で作られています。

手作りワックスコースで来店されたお客様には、ワックスを削って原型を作って頂きます。

一方鍛造法は、ハンマー等で金属をひたすら叩き薄く引き伸ばして棒状にしてから、それを曲げて輪っかにして指輪を作るという方法です。手作業で行う場合もありますし、機械で金属を板状にしてから、丸く打ち抜いて作るという場合もあります。分かりやすく言えば、鋼をひたすら叩いて日本刀を作るというようなイメージです。鋳造法と比べて作るのが大変な為、大量生産しなければならない大手というよりは、小さな工房で用いられている事が多いです。

手作り彫金コースで来店されたお客様には、用意された金属棒を丸める作業から始めていただきます。

鋳造法で作られた結婚指輪のメリットとデメリット

鋳造法で結婚指輪を作る

鋳造法で作られた結婚指輪のメリットは、指輪の原型を作るのが簡単だという点と、好きなデザインの指輪を作ることが出来るというところです。大量生産出来るので既製品では比較的リーズナブルな価格の結婚指輪を作る方法として用いられています。また金属は固いので手作業で細かいデザインを作るのは難しいですが、鋳造法ならコンピューターにより立体的に型を作る事も出来、細かく複雑なデザインも容易に出来るというのも魅力です。S字型やV字型、表面に自分たちで模様を入れるなど自由な形の指輪を作ることが出来ます。

デメリットはワックス原型が完成してから貴金属に仕上げるまでの納期がかかると言う点と、製造時に金属を溶かして鋳型に流し込むのですが、金属の密度が低く強度や硬度が弱くなる恐れがあるという点です。その結果、指輪は傷がつきやすかったり歪みやすくなります。さらに何年も使用していると次第にデザインの凹凸が削れていき薄くなってしまう恐れもあります。もちろん有名ジュエリー店では出来るだけそうならない為に、指輪をある程度厚くしたり、素材を工夫したりしているので、それほど心配する必要はありません。

納期は必要ですが、細かく複雑なデザインの指輪が欲しいという人は鋳造法の指輪が向いています。

鍛造法で作られた結婚指輪のメリットとデメリット

鍛造で結婚指輪を作る

鍛造法で作られた結婚指輪のメリットは、金属を叩いて鍛えていきながら製造していくので、中の空気が抜けて滑らかなつけ心地になります。また強度が高く、傷もつきにくく丈夫であるという点です。その為細くても強度を出す事が出来ます。実際に金属を自分たちで手作りするので、手作りした実感がわき、どこか温かみを感じられるというのも魅力です。また、当日に完成させることが出来るのでダイヤを入れるなどの加工が必要なければ当日に持って帰ることが出来ます。

デメリットは金属を直接加工しなければならないので多少力が必要になります。また、研磨する際に手や洋服が汚れる可能性があるので出来れば汚れても良いようなラフな服装で作業するほうが良いようです。ネイルなどをして爪を長く伸ばしている場合はしっかりと指輪を持って作業するのが難しいため爪は短く切っておく必要があります。デザインの面では細かいデザインを行うのが難しい為、鋳造法で出来る指輪よりも比較的シンプルなデザインの指輪しか作ることが出来ません。S字型やV字型などのカーブしたデザインは作ることができず、表面に模様を入れたりすることも出来ません。

鍛造の場合は傷つきにくく丈夫な指輪を欲しいという人や、シンプルなデザインが希望でどこか手作り感がある指輪が欲しいという人は鍛造法の指輪が向いています。

それぞれのメリットとデメリットを考えて手作り方法を選ぶ

鋳造法と鍛造法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。その為どちらが優れているという事は言い切れません。結婚指輪の丈夫さや品質の高さを重視したいのであれば鍛造法の指輪を選べば良いですし、比較的値段もリーズナブルで見た目のデザインを細かくしたいのであれば鋳造法の指輪を選ぶと良いです。とにかく自分が優先したい部分が優れている方を選べば、後で後悔する事はなくなります。

それぞれの手作り方法の特徴をまとめましたので参考にしてください。

ワックスコース【鋳造】

  • デザインの自由度が高い
  • 作業が簡単で短時間
  • 完成までの納期が必用

彫金コース【鍛造】

  • シンプルなデザインしか作れない
  • 作業時間が長い
  • 当日完成させて持ち帰り可能