結婚指輪の詳しい作り方2

2.結婚指輪の形とワックス作り方 ストレート

結婚指輪の形はその幅と表面の形によって似合う似合わないがあります。また指のサイズによっても似合う似合わない事もあります。 どのような指輪の形が似合うのかは実物を指に付けてみることが大切です。 写真で気に入ったデザインがあったとしても、実際に身につけてみると似合わなかったりイメージと違ったと言うこともあるので、デザインを決定する上では指に付けてみるという行程はかなり大事な作業になります。

お店には沢山の形の結婚指輪が並んでおり迷うこともあると思います。結婚指輪の形は意外と単純な形が元になっており平面図で見て頂ければ良くわかると思います。 どの指輪形状も作り方はよく似ていますのでまず、自分に合った結婚指輪の形状を見つけましょう!

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指輪の形状からデザインを決める

結婚指輪の大まかな形として主に以下のような種類が在ります。 ストレート型もS字型やその他の形も基本の形はストレート型のワックスをまず作ります。 歪んだ形の場合は歪み幅の分を含めてストレート型を広く作って、そこから歪んだ形を削りだして作ります。 それぞれの形の特徴とイメージを説明します。

指輪の主な形状図

<主な結婚指輪の形>

  • ストレート型
    同じ幅の真っ直ぐな形。一番結婚指輪らしい形でシンプルで飽きも来ず、万人に似合う形状です。

  • S字型
    全体にS字型に波打ったような形。女性らしい緩やかに歪んだフォルムは可愛らしい印象を与えます。

  • V字型
    トップ部分がシャープにV字型をした形。指が細く長く見える形で、シャープな形状は男性にも人気です。

  • U字型
    トップ部分が緩やかにU字型をした形。V字型と同じく指が細く長く見える形で、女性らしい可愛らしい印象を与えます。

  • その他の形
    自分の好みで特定の形にとらわれない形。個性的で手作り感のあるカジュアルなデザインです。

指輪表面の形

<指輪表面の形>

  • 平打ち型
    表面がフラットな形はクールで都会的な印象を与えます。カジュアルがお好みの男性に人気の形です。

  • 甲丸型
    表面に丸みがあるので指に付けたときに邪魔にならず、自然な雰囲気になります。

指輪の幅

<指輪の幅>

  • 2.0mm幅
    昨今人気の指輪幅で、細身なので存在感を押さえて自然な雰囲気です。手作りの場合も安価になるので一番多い指輪幅です。

  • 2.5m幅
    サイズの大きい男性の場合、2mm幅だと華奢すぎて女性物を付けているようになる場合はこの位の幅にする事が多いです。デザイン的にもバリエーションが様々選べます。

  • 3.0mm幅
    存在感があり個性的なデザインをお好みの方はこの位の指輪幅にすると良いでしょう。高価になりますが女性物でダイヤモンドを沢山埋めこめばゴージャスに仕上がります。

以上のように意外とシンプルな組み合わせで指輪の大まかな形が決定します。ご自分の手の大きさ、指の長さや太さによって自分好みの形であっても 似合うかどうかは実物を身につけてみないとわかりません。組み合わせは単純なので自分の好みに合ったデザインの指輪を手作りしましょう。

ストレート型の作り方

ストレート型の指輪を作るのが一番簡単でチューブ状のワックスから作りたい指輪幅を切り出すだけで簡単にドーナツ状の指輪の形になります。 切り出したワックスを希望の幅、厚み、穴を削ってサイズを合わせ、回りのボリュームを削るだけで短時間に作ることが出来ます。 指のサイズにも寄りますが約1時間~1時間半もあればワックス原型が完成します。

ワックスに切取線を入れるお客様

Step1 切り取るための目安線を引く

罫描きコンパスというワックスの表面に線を引く道具を使い、切り取るための目安線をワックスに罫描きます。

罫描きコンパスの寸法を合わせる

ワックスに希望の幅の線を引くために罫描きコンパスの幅を作る指輪幅に合わせます。 スケールを使って正確に合わせますが、0.1mm単位の細かい幅なのである程度あっていればOKです。

罫描きコンパスでワックスに線を引く

罫描きコンパスの片方の足をワックスの端に合わせてワックスを回しながら表面に線を引いていきます。 あくまでも切り取ったり削ったりするための目安にしますので多少歪んでしまっても大丈夫です。

罫描きコンパスのサイズ合わせ、ワックスに罫描く作業がどうしても苦手というお客様は、要所要所で確認とお手伝いをしておりますので安心して作業をして下さい。

線に沿ってワックスを切り出すお客様

Step2 線に沿ってワックスを切り出す

罫描きコンパスで引いた線に沿ってワックスを切り出しますが、1mm位余分大きめに切ります。 少し大きめに切るのは、曲がってしまって指輪幅より狭い幅に切れてしまうのをを防ぐためです。

少し広めにワックスを切る

ワックスの表面にノコの切り込みが無い最初は、切ろうと思ってもノコ刃がすべってしまい、希望通りの位置で切れない場合があるので爪など沿えて糸ノコが横にすべらないように工夫します。一度ノコ刃の切り込み溝が出来てしまえば、その溝に沿って大きく糸ノコをストロークさせます。この時に余り力を入れてノコをワックスに押しつけないようにして下さい。ワックスは柔らかいので糸ノコの重みだけで大きくストロークするだけで簡単に切ることが出来、曲がらずにキレイに切れます。また、一気に切ろうとせずワックスを回しながら罫描き線に沿って、まず全周に切り取り溝を入れ、その溝の通りに全体に深く切っていくと真っ直ぐに切れます。

切り取ったあとのワックス断面

糸ノコで切った断面は凸凹になる場合が多いです。このように断面がガタガタで凸凹になってしまっても大丈夫です。目安の幅よりも広めに切り取っているため、このあとで断面はヤスリで削って目安の幅にしていきます。万一もの凄く曲がってしまい希望の幅にならなければ切り直すか、足りない部分をワックスを熱で溶かして盛り上げることが出来るのでご安心ください。


ワックス断面を削るお客様

Step3 切った断面をヤスリで削る

少し広めに切り出したワックスはヤスリを使って断面を希望の指輪幅になるまで削ります。 断面を削る方法は2つあり、1つはヤスリを手に持って削る方法です。 ワックス断面の面積よりヤスリの幅の方が狭いため力を入れすぎると力が入った箇所だけ削りすぎてしまいガタガタになってしまうことがあります。 力を抜いて撫でるように断面を削り、同じ場所を2~3回削れば回すという行程を繰り返すと全体に均等に削れます。

おろし金のようにワックス断面を削る

もう1つのワックス断面を削る方法は、固定した大きなヤスリにワックスを手に持って擦る方法です。 おろし金のような大きな面積のヤスリなのでワックス断面全体を一気に削ることが出来るので凸凹は自然にフラットな面に削れます。 初心者のお客様はこちらの方法の方が簡単なのでオススメのヤスリ作業です。

断面が仕上がったワックス原型

この写真のように希望の指輪の幅になるまでいずれかの方法で断面を削ります。 削った断面は荒目のヤスリを使うためヤスリの削り跡が付きますが、当店の職人が最後に断面を仕上げてフラットにさせていただいております。

リーマーで指輪内側を削るお客様

Step4 内側を削ってサイズ合わせ

リングリーマーという道具を使って内側の穴を削り、サイズを合わせます。 棒状の表面に歯車状の刃が付いているのでワックスの穴に差し込み、グルグル回すとワックスの穴が広がるように削れる仕組みです。 このリーマーという作業はただ回すだけなのですが、ワックスの差し込み具合によって回しにくかったり、内側がガタガタに削れてしまうので少しコツが必要です。 最初は軽く差し込んでスムーズに回すことに慣れてから、深く差し込んで内側を削っていきます。慣れれば簡単な作業です。

リーマー作業

Step5 外側の余分な厚みを削る

最後に外側の余分な厚みを削って適正な指輪の厚みに削ります。 身につける指輪の適正な厚みは1.6mm~1.8mmぐらいに合わせていきます。厚みがありすぎると指に付けたときに隣の指にあたり邪魔になり無駄に重くなり価格も上がってしまいます。 逆に薄すぎると強度が落ち、少し力を入れるだけで歪んでしまいます。指輪のデザインにもよりますが適正に厚みを削れば完成です。 この時に表面を平らに仕上げると「平打ち型」、角を取って丸みを付ければ「甲丸型」の結婚指輪になります。 表面に模様などを入れないシンプルな指輪ならここまでの作業で完成になります。

外側の余分な厚みを削る
完成した結婚指輪のワックス原型

次のページでは指輪表面に模様や彫刻を施し、様々な指輪デザインの作り方をご紹介いたします

結婚指輪のデザイン別による製作方法-目次