6.鋳造後の槌目仕上げ完成まで
このページでは、前のページでピンクゴールドに鋳造した指輪をピカピカに仕上げるまでの行程をご紹介します。 今回は磨くだけではなく、表面に槌目加工を施してミラーボールのような輝きで仕上がるまでをご紹介します。
ツリーの状態からノコorニッパーで指輪部分を切り離します。 鋳造直後の指輪は埋没材のざらざらした表面がそのまま転写されて輝きもなくマットな状態です。磨くと貴金属本来の輝きで高級感が出てきます。
サイズを合わせたワックスを鋳造して貴金属にするのですが、溶解された金属が固まる時に収縮して少しサイズが小さくなります。 金属によって収縮率が違い、伸ばす場合の伸び具合もゴールドとプラチナによって違いますが、サイズ棒に入れて確認します。 少し楕円形になっている場合もあるので研磨する前に表面を木槌で叩いて真円とサイズをキチンと合わせます。
真円とサイズがキチンと合わせられたら表面の鋳肌のざらざらを取り除くためにブラシ、ヤスリ等で表面を少し削ります。 ヤスリ目が付いた状態ですが金属の感じが出てきました。
表面の鋳肌を全て取り除いて、ヤスリ目が付いた所まで出来たら今度はそのヤスリ目をキサゲという道具でキレイにしていきます。 キサゲを使わずにペーパー掛けで磨いたりも出来るのでキサゲをかける職人さんは減ってきているようです。 当店の場合もプラチナ素材には使わなかったりもするのですがゴールドの場合はキサゲでヤスリ目をキレイにしております。
手作業のキサゲでヤスリ目をある程度とったあと、更に機械で研磨していきます。 ワックスで表面にテクスチャーを入れるのに使用したハンドモーターで磨きます。
ハンドモーターには色々なポイントをつけることが出来、様々な作業に使えるので彫金作業には欠かせないアイテムになっています。 ドリルで穴を空ける。カッター・ダイヤポイントで削る。シリコンで磨くなどポイントの大きさや形で数百種類ぐらいあるのではないでしょうか。 どのような加工をするのかによって使い分けることが出来るのでとても便利です。
ハンドモーターである程度金属表面の光沢を出した後は大きなバッファーと呼ばれる研磨機で研磨します。 バッファーの布バフに付いた研磨材によってピカピカに仕上がっていきます。
全体をバフ研磨でピッカピカに仕上げれば光沢仕上げは完成です。 研磨仕上げで結婚指輪が完成の場合は指輪の製作作業は終わりになります。
今回は更に指輪表面を槌目加工で仕上げるまでの行程をご紹介します。
槌目加工の方法は実際に指輪表面を金槌で叩いて小さな光沢平面を沢山作っていきます。 この時に使う金槌の平面部分もピカピカに磨いてあって、金槌の光沢を指輪表面に叩き移していく感覚です。
余談になりますが、金槌の平面がざらざらしていると指輪表面の叩いた面もざらざらした平面が転写されるような仕上がりになります。 今回はピカピカの槌目です。
全周に槌目模様を入れました。叩く強さに強弱をつけてランダムに叩きます。 金槌の平面はピカピカに磨いてあっても叩くと金属表面にひずみが出来て少しシワが入ったようになるので再度バフをかけて仕上げます。
最終的にプラチナとピンクゴールドのペアで結婚指輪が仕上がりました。 双方とも槌目加工を施したカジュアルですが、槌目がキラキラとミラーボールのように輝き美しいデザインの結婚指輪です。
結婚指輪のデザイン別による製作方法-目次